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節分の鬼 Setsubun Demon

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こんにちは。

みなさん、がつ3日みっかなんってますか。

2月にがつ3日みっか節分せつぶんです。

日本にほんには節分せつぶんという行事ぎょうじがあります。

節分せつぶんおこなうことといえば、まめまきです。

これがまめですね。

これは大豆だいずって、豆腐とうふ味噌みそ原料げんりょうになっているまめです。

このまめを、こういう、これおめんってうんですが、おにのおめんをつけたひとおに格好かっこうをしたひとけて、げるんですよ。

これをまめまきといます。

なんでおにかってまめげるんでしょう?

病気びょうきとか台風たいふう地震じしんなどの災害さいがい、こういったわるいこと、わざわいは、きてほしくないです。

こういったきてほしくないわざわいを、おに見立みたてています。

そして、こういったわざわいをはらうために、おにかってまめげておに退治たいじするんです。

まめまきをするときごえがあるんですけど、みなさんご存知ぞんじですか。

まめまきをするときには「おにそとふくうち!」というごえをかけます。

おにそと」のおには、さっきもったように、きてほしくないわるいこと、わざわいの象徴しょうちょうです。

そして後半こうはんの「ふくうち」のふくというのは、ふくかみのことです。

幸福こうふくしあわせの神様かみさまです。

なので、「わざわいをもたらすおにそとけ!しあわせをもたらすふくかみうちてね。」というねがいをめて、

おにそとふくうち!」っていうごえをかけながらまめげるんです。

今日きょうはこの節分せつぶんにちなんで、節分せつぶん関係かんけいのある日本にほん昔話むかしばなしひと紹介しょうかいしたいとおもいます。

節分せつぶんおに」という、東北とうほく地方ちほう岩手県いわてけんつたわる昔話むかしばなしです。

では、はじめます。

節分せつぶんおに

昔々むかしむかしあるところに、おじいさんが一人ひとりらしていました。

おじいさんのおくさんと息子むすこ病気びょうきんでしまいました。

つまにも息子むすこにも先立さきだたれて、おじいさんは一人ひとりぼっちでさみしくらしていました。

おじいさんの日課にっかは、二人ふたりのお墓参はかまいりをすることでした。

これはおはかです。

おじいさんは毎日まいにち毎日まいにちおくさんと息子むすこのおはかって、おはかわせていました。

おじいさんはあまり裕福ゆうふくではなかったので、二人ふたりのおはかはこんな立派りっぱなおはかではありませんでした。

とっても簡単かんたんつくったちいさなおはかでした。

おじいさんはおはかまえでいつもいつも、「はやくおまえたちのところにきたいよ。はやむかえにて。」と二人ふたりはなしかけていました。

こうやって毎日まいにち墓参はかまいりをすることだけが、おじいさんのたのしみでした。

唯一ゆいいつたのしみでした。

あきわってふゆました。

ここは岩手県いわてけんですから、ふゆになるとゆきがたくさんります。

おじいさんのむらにもゆきがたくさんもりました。

こんな大雪おおゆきではお墓参はかまいりにもけません。

ふゆあいだ、おじいさんはお墓参はかまいりにもかず、いえじこもっていました。

ずっといえにいました。

あるれた、おじいさんはひさしぶりにお墓参はかまいりにくことにしました。

おじいさんがおはかかってあるいていると、あちこちから「おにそとふくうち!」というこえこえてきます。

どうやら今日きょう節分せつぶんみたいです。

家族かぞくたのしそうにまめまきをするこえこえてきます。

おじいさんは「そっか、今日きょう節分せつぶんだったか。」とおもいました。

そして、くなったおくさんと息子むすこ一緒いっしょまめまきをしたときのことをおもしました。

たのしかったときのことをおもして、余計よけいさみしくなりました。

くと、おじいさんのからはなみだあふれていました。

墓参はかまいりをえていえもどったおじいさんは、「そういえばむかし息子むすこ子供こどもころ節分せつぶん一緒いっしょおにのおめんつくったなぁ。

まだどこかにあのおめんがあるはずだ。」とおもしました。

「うーん、どこだったかな。どこにしまっておいたかな。」おじいさんは家中いえじゅうしをけておめんさがします。

「あった!」おめんつかりました。

おじいさんは息子むすことのおものおめんて、「むかしたのしかったな。でもいまはもうつま息子むすこもいない。

ふくかみにも見放みはなされてしまった…。」とかなしくなりました。

おじいさんはもうやけくそです。

「やけくそ」というのは、もうどうでもいい、どうなってもいい、とげやりになる気持きもちです。

やけくそになったおじいさんは、おにのおめんをつけて「おにそとふくうち!」じゃなくて、

わざと「おにうちふくそと!」とぎゃくのことをいながらまめをまきはじめました。

おにうちふくそと!」するとコンコンコン、おじいさんのいえだれたずねてきました。

ひらけてみると、なんとそこにはおにっていました。

「いや〜、今日きょう節分せつぶんだからさ、みんなに『おにそとおにそとおにけ!け!』ってわれたんだ。

おにうち!』ってってくれたのはおじいさんだけだよ。いえんでくれてありがとう、おじいさん。」そうっていえはいってきました。

おじいさんのいえには続々ぞくぞくおにたちがあつまってきます。

いままでずっと一人ひとりさびしくらしていたおじいさんは、たとえおにでも、ひさしぶりにいえにおきゃくさんがてくれてうれしくなりました。

おじいさんうれしそうですね。

そとさむいです。

おにたちはおじいさんのいえであったまりました。

そしておれいにとって、おさけものってきました。

おじいさんとおにたちは、みんなであさまで宴会えんかいをしました。

翌朝よくあさおにたちは「たのしかった。おじいさん、ありがとう。来年らいねん節分せつぶんもまたあそびにるね。」とってかえっていきました。

おにたちはおれいにと、おかねいていきました。

ふゆわり、はるになりました。

おじいさんはおにたちがいていったおかねで、おくさんと息子むすこのおはかあたらしくつくえました。

二人ふたりのおはかは、こんな立派りっぱなおはかになりました。

おじいさんはおはかわせて、「来年らいねん節分せつぶんおにたちをいえばなくちゃいけないからさ、もうすこ長生ながいきすることにしたよ。」と二人ふたりつたえました。

節分せつぶんおにのおはなしでした。

おしまい。

こんにちは。皆さん、2月3日は何の日か知ってますか。2月3日は節分です。日本には節分という行事があります。節分の日に行うことといえば、豆まきです。これが豆ですね。これは大豆と言って、豆腐や味噌の原料になっている豆です。この豆を、こういう、これお面って言うんですが、鬼のお面をつけた人や鬼の格好をした人に向けて、投げるんですよ。これを豆まきと言います。

なんで鬼に向かって豆を投げるんでしょう?病気とか台風や地震などの災害、こういった悪いこと、災いは、起きてほしくないです。こういった起きてほしくない災いを、鬼に見立てています。そして、こういった災いを追い払うために、鬼に向かって豆を投げて鬼を退治するんです。

豆まきをする時に言う掛け声があるんですけど、皆さんご存知ですか。豆まきをする時には「鬼は外!福は内!」という掛け声をかけます。「鬼は外」の鬼は、さっきも言ったように、起きてほしくない悪いこと、災いの象徴です。そして後半の「福は内」の福というのは、福の神のことです。幸福、幸せの神様です。なので、「災いをもたらす鬼は外に出て行け!幸せをもたらす福の神は家に来てね。」という願いを込めて、「鬼は外!福は内!」っていう掛け声をかけながら豆を投げるんです。

今日はこの節分にちなんで、節分に関係のある日本の昔話を一つ紹介したいと思います。「節分の鬼」という、東北地方の岩手県に伝わる昔話です。では、始めます。

節分の鬼。昔々あるところに、おじいさんが一人で暮らしていました。おじいさんの奥さんと息子は病気で死んでしまいました。妻にも息子にも先立たれて、おじいさんは一人ぼっちで寂しく暮らしていました。

おじいさんの日課は、二人のお墓参りをすることでした。これはお墓です。おじいさんは毎日毎日、奥さんと息子のお墓に行って、お墓に手を合わせていました。おじいさんはあまり裕福ではなかったので、二人のお墓はこんな立派なお墓ではありませんでした。とっても簡単に作った小さなお墓でした。おじいさんはお墓の前でいつもいつも、「早くおまえたちのところに行きたいよ。早く迎えに来て。」と二人に話しかけていました。こうやって毎日お墓参りをすることだけが、おじいさんの楽しみでした。唯一の楽しみでした。

秋が終わって冬が来ました。ここは岩手県ですから、冬になると雪がたくさん降ります。おじいさんの住む村にも雪がたくさん積もりました。こんな大雪ではお墓参りにも行けません。冬の間、おじいさんはお墓参りにも行かず、家に閉じこもっていました。ずっと家にいました。

ある晴れた日、おじいさんは久しぶりにお墓参りに行くことにしました。おじいさんがお墓に向かって歩いていると、あちこちから「鬼は外!福は内!」という声が聞こえてきます。どうやら今日は節分みたいです。家族で楽しそうに豆まきをする声が聞こえてきます。おじいさんは「そっか、今日は節分だったか。」と思いました。そして、亡くなった奥さんと息子と一緒に豆まきをした時のことを思い出しました。楽しかった時のことを思い出して、余計に寂しくなりました。気が付くと、おじいさんの目からは涙が溢れていました。

お墓参りを終えて家に戻ったおじいさんは、「そういえば昔、息子が子供の頃、節分の日に一緒に鬼のお面を作ったなぁ。まだどこかにあのお面があるはずだ。」と思い出しました。「うーん、どこだったかな。どこにしまっておいたかな。」おじいさんは家中の引き出しを開けてお面を探します。「あった!」お面が見つかりました。おじいさんは息子との思い出のお面を見て、「昔は楽しかったな。でも今はもう妻も息子もいない。福の神にも見放されてしまった…。」と悲しくなりました。

おじいさんはもうやけくそです。「やけくそ」というのは、もうどうでもいい、どうなってもいい、と投げやりになる気持ちです。やけくそになったおじいさんは、鬼のお面をつけて「鬼は外!福は内!」じゃなくて、わざと「鬼は内!福は外!」と逆のことを言いながら豆をまき始めました。「鬼は内!福は外!」するとコンコンコン、おじいさんの家に誰か訪ねてきました。

戸を開けてみると、なんとそこには鬼が立っていました。「いや〜、今日は節分だからさ、みんなに『鬼は外!鬼は外!鬼は出て行け!出て行け!』って言われたんだ。『鬼は内!』って言ってくれたのはおじいさんだけだよ。家に呼んでくれてありがとう、おじいさん。」そう言って家に入ってきました。おじいさんの家には続々と鬼たちが集まってきます。今までずっと一人寂しく暮らしていたおじいさんは、たとえ鬼でも、久しぶりに家にお客さんが来てくれて嬉しくなりました。おじいさん嬉しそうですね。

外は寒いです。鬼たちはおじいさんの家であったまりました。そしてお礼にと言って、お酒や食べ物を持ってきました。おじいさんと鬼たちは、みんなで朝まで宴会をしました。翌朝、鬼たちは「楽しかった。おじいさん、ありがとう。来年の節分もまた遊びに来るね。」と言って帰っていきました。鬼たちはお礼にと、お金も置いていきました。

冬が終わり、春になりました。おじいさんは鬼たちが置いていったお金で、奥さんと息子のお墓を新しく作り変えました。二人のお墓は、こんな立派なお墓になりました。おじいさんはお墓に手を合わせて、「来年も節分の日に鬼たちを家に呼ばなくちゃいけないからさ、もう少し長生きすることにしたよ。」と二人に伝えました。

節分の鬼のお話でした。おしまい。

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