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文化の氷山モデル The Iceberg Model of Culture

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こんにちは。今日はサイトのメンバーの方が提案してくださったテーマを取り上げたいと思います。今日のテーマは「文化の氷山モデル」です。皆さん、聞いたことありますでしょうか。文化は皆さん分かりますよね。日本文化とかフランス文化とかいう時の文化ですね。氷山はこれです。海に浮かぶ氷山。今日のテーマは「文化の氷山モデル」です。これ、文化を氷山に例えた理論だそうなんですが、文化を氷山に例えるってどういうことでしょうか。私はもともとこの理論について全く知らなかったんですけど、えっと名前を聞いたことすらなかったんですが、先日Discordでメンバーさんにこのテーマを提案していただいて、すごく面白いなと思ったのと、あと今まさに皆さんがしている語学学習にもすごく関係の深い内容だなと思ったので、私なりにちょっと調べてまとめた内容を今から皆さんに紹介したいと思います。

皆さん氷山、実物見たことありますか。私は見たことありませんけど、え、私たちが船に乗って海を航海していると仮定しましょう。私たちは今航海中です。目の前に氷山があったとします。その時この船にいる私たちの目に見える部分っていうのは、この上の部分だけですよね。水面上に出ているこの部分しか、私たちは認識することができません。なんですけど、この見えている部分、私たちが認識できる部分っていうのは、実際には氷山全体のわずか10パーセントほどに過ぎないそうです。ここは氷山の一角、ごく一部に過ぎません。実際には、この水面下に隠れている見えない部分の方が遥かに大きいわけなんですよね。そして、この水面下に隠れているこの部分が、どれくらいの大きさでどんな形をしているのかっていうのを、水面上にいる私たちが知るのは難しいですよね。文化もそれと同じで、目に見える要素、認識できる要素と、目には見えない背景の要素があるんだということを示しているのが、文化の氷山モデルです。なんとなくわかりましたか。

じゃあ目に見える文化、私たちが認識できる文化って、具体的にはどんなものがあるでしょうか。ちょっと分かりやすく、皆さんもよくご存知の日本の文化を例にとって一緒に考えてみましょう。例えば、きっと皆さんの中にも好きな方が多いであろう、アニメや漫画ゲームはとても分かりやすい例ですね。これらはこの水面上に、表面に現れている目に見える日本の文化です。それから、芸術。音楽や美術。日本の美術と言うと、古くからある浮世絵などがありますね。あとは、歌舞伎のような伝統芸能、お寺のような建築などもそうですね。あとは食文化だったり、衣服なんかも目に見える分かりやすい文化の一つです。その文化圏の人々の暮らし、生活様式なんかも目に見える文化ですね。それから、例えば春には花見をして、夏には盆踊りをして、秋には紅葉狩りをして、大晦日は年越しそばを食べて…みたいな、この日本ならではの季節の行事だったり、お祭り、お祝いの仕方。もう挙げていったらキリがないので、この辺にしましょう。ま、これだけ例を挙げたら、もう皆さん見える文化というのがどういったものを指しているのか、もう分かったと思います。

今たくさん例を挙げましたけど、今例に挙げたような、認識できる、見える文化というのは、先ほども言ったように実は文化の様々な要素のごくごく一部、氷山の一角でしかなくて、実際にはその背景となる見えない文化がこの水面下にたくさん存在します。

具体的にはどんなものがあるか一緒に考えてみましょう。例えば、物の見方、人々の考え方、価値観がそうですね。例えば、時間の概念とか。またちょっと日本を例に取ってお話しすると、日本は時間を厳守する、時間を守ることをすごく大事だと考える人が多い文化だと思います。でも、そうじゃない文化もありますよね。時間に対する考え方がもっとおおらかな文化もあると思います。あとは、ボディランゲージも背景の文化の一つです。同じジェスチャーでも、文化によっては全く異なる意味を持つ場合もありますよね。そういったことを知らないと誤解が生じたりする可能性もあります。それから、例えば清潔さだったり、美、ね、美しさの概念やその基準も文化によって異なります。そういったものも見えない文化の一つの要素と言えますね。他にはどんなものがありますかね。これも例を挙げ出したらキリがないんですが、まぁ分かりやすいところで言うと、道徳観念、モラルですね。とか、良い悪い、善悪の基準。あと社会のルールだったり、マナー、礼儀や常識などもその文化を構成する大事な要素です。ある文化においては、礼儀正しい、良いマナーだとされている行為が、他の文化においては失礼だと考えられたりすることもありますよね。それから、年齢に対する考え方やジェンダーロール、男女の役割に対する考え方、あとは宗教に対する考え方なんかも目には見えないですが、重要な文化の一つです。例えば、宗教に対する考え方を例に取ると、日本では割と、え、比較的信仰心の薄い人が多い、宗教に熱心な人が少ないと言われることがありますけど、その文化において宗教というのがどれぐらい重要なものだと考えられているかということも、重要な文化の一要素と言えますね。他にも色々ありますが、ま、なんとなく皆さん、この見えない文化、背景の文化というものがどういったものを指しているのか、掴めたでしょうか。分かったでしょうか。

ある国とか、ある集団の文化を思い浮かべた時、普通はやっぱりどうしても最初に例を挙げたような、こっちですね、目に見える要素がまず真っ先に浮かびますよね。私もそうだと思います。例えばですけど、うーん…例えばベルギーって聞いたら、私は真っ先にベルギーのチョコレート食べたいなあって食文化を思い浮かべます。ブラジルって聞いたら、やっぱりリオのカーニバル、お祭りですね、が、一番に浮かびますね。あとはサッカーとかも。そんな風にやっぱりこのね、上の部分、表面に現れている、分かりやすい目に見える要素がまず浮かぶという人がほとんどだと思います。ですが、氷山と同じで、私たちがすぐに思いつくような、その目に見える要素というのは、実はその文化を構成している要素のごく一部に過ぎなくて、氷山の一角に過ぎなくて、実際には見えない背景の文化の方が遥かに多いんですね。そして、そういった目には見えない背景の文化こそが、ね、こっちの方が寧ろその国だったり、その人のアイデンティティを形成する重要な要素だったりもします。

はい。想像してください。皆さんが海を航海中に航路に氷山があって、そのそばを通らなくちゃいけないとします。その時、水面上に出ているこの部分だけで氷山の形だったり大きさを判断して横切ろうとしたら、とっても危険ですよね。ここだけを見て、「よし、大丈夫。行ける!」と思って横切ったら、ぶつかってしまう危険性があります。見えてる部分だけじゃなくって、見えない水面下にも氷山が続いているっていうことをちゃんと意識しながら、細心の注意を払って通らなくちゃいけませんよね。ちゃんと下の部分の存在も意識して気をつけながら通らないと危ないですよね。異なる文化を持つ人同士が関わる場合も、それと全く同じです。表面上に現れてきている分かりやすい文化だけを見て、その文化全体を判断するのは危険です。その背景にある人々の価値観とか、社会のルールとか歴史とかを意識せずに、そういった要素を全く無視してコミュニケーションを取ってしまうと、思わぬ衝突が生じたりする可能性があります。見えない文化を無視することは、そういった危険性を孕んでいます。

それから、氷山もこの水面上に出てる部分だけを見ても、氷山全体の大きさや形は分からないとさっき言いましたよね。ここだけを見て全体が分かったような気になってしまってはいけませんよね。文化もそれと同じです。異文化を理解しようって思ったら、表面に現れている見える文化だけを理解しても、本当の意味での理解とは言い難いですよね。本当の意味である一つの文化やその文化を持っている人々を理解しようと思ったら、この水面下に隠れた見えない部分にもきちんと目を向けて理解しようと努めていく必要性があります。そうでなければ、真の異文化理解とは言えませんよね。

はい。ま、そういったことを氷山に例えて示しているのが、文化の氷山モデルです。皆さんが日本語を勉強し始めた時のことを思い出してみてください。これをご覧の皆さんは上級の方たちなのでね、もう随分前のことかもしれないんですけど。皆さんは何がきっかけで日本語を勉強し始めましたか。おそらく皆さん、最初はこの水面上に現れている、目に見える日本文化、認識できる日本文化にまぁ何かしら興味を持って、日本語を勉強し始めたんじゃないかなと思います。例えばアニメが好きだからとか、J-POPが好きだからとか、武道に興味があったからとか。元々のきっかけはそういうものだったかもしれないけれど、おそらく皆さん、日本語の学習を進めていく過程で、背景にある見えない日本文化にも触れる機会が増えてきたんじゃないかなと思います。皆さんは見えない日本文化をどれくらい理解していますか。

はい。えーっと、言語と文化は深く関係していると言われますよね。というか、言語も文化の一部と言えるかもしれませんね。表面には現れない、深いところにある文化的背景や歴史的背景や人々の価値観などが、言葉にも現れますよね。なのでやっぱり言語を習得していく上では、そういった背景の文化の理解っていうのは避けて通れない、必要不可欠なものだと思います。今回、このテーマについて調べていく中で、私も皆さんに、分かりやすい見える日本の文化を紹介するだけじゃなくって、もっともっと深いところの日本人の価値観だとか、日本社会に特有なルールだとか、背景にある歴史だとか、そういったこともたくさんテーマに取り上げて伝えていけたらいいなと改めて思いました。ま、結構ね、実はこれまでにもそういった内容を扱ってはいるんですが、え、例えば、日本と西洋のコミュニケーションの違いとか、日本のジェンダーギャップの話とか、日本人がよくやるお辞儀についてとか、相槌についてとか。相槌っていうのは、「うんうん」「へぇ〜」「あぁ〜」っていう、これですね。はい。そしてそういった日本人の言動の背景にある、私たちの価値観とか考え方とか。水面下に隠れている見えない日本の文化の話を、これまでにも動画で扱ってきてはいるんですが、これからも引き続き、あの、皆さんにお伝えしていけたらいいなと思いました。

ということで、今日は文化の氷山モデルについてお話ししました。このテーマ、提案してくださった方、ありがとうございました。私もあの調べながらとっても面白かったです。上級向けのテーマ募集中です。皆さん、もし何か面白そうなもの思いついたらぜひ教えてください。はい、今日はここまでです。またね。

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2 Comments

  1. Thank you for another great episode. As a suggestion for future videos, maybe it would be interesting to talk about how 神道 and 仏教 have influenced the values that Japanese people hold today and the influence these religions have had on the modern secular society in general. Just a thought. Great content as always.

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